海に浮かぶ朱色の大鳥居で知られる厳島神社。日本三景「安芸の宮島」のシンボルであり、全国に約500社ある厳島神社の総本社でもあります。
なぜ社殿が海の上に建てられているのか、誰が今の姿を造ったのか——この記事では、厳島神社の創建から、平清盛による社殿造営、戦国時代の再建、そして世界遺産登録に至るまでの歴史を紹介します。
この記事のポイント
- 社伝による創建は593年(推古天皇元年)、豪族・佐伯鞍職(さえきのくらもと)による
- 現在のような海に浮かぶ社殿の姿を造ったのは、平安末期の平清盛
- 現存する本殿は、毛利元就が1571年に再建したもの
- 1996年にユネスコの世界遺産に登録
厳島神社の創建は593年

社伝によると、厳島神社の創建は**推古天皇元年(593年)**にさかのぼります。このあたり一帯を治めていた豪族・佐伯鞍職が、宗像三女神(市杵島姫命・田心姫命・湍津姫命)の神託を受けて社殿を建てたのが始まりとされ、鞍職は初代の神主になったと伝えられています。
宗像三女神は、海の神・交通運輸の神・財福の神・技芸の神として信仰される神々です。
なぜ社殿は海の上に建てられているのか
厳島(宮島)は、島そのものが神の宿る場所として信仰されてきました。島の中心をなす弥山(みせん)を神体山とする自然崇拝が背景にあり、島に手を加えることがはばかられたため、社殿は陸地ではなく、海岸線から海上へと張り出す形で建てられたと考えられています。
平清盛による社殿の造営(平安時代末期)
現在のような、海に浮かぶ寝殿造りの壮麗な社殿の姿を造り上げたのは、平安時代末期の武将・平清盛です。
清盛は1146年に安芸守(あきのかみ)に任じられ、1153年には播磨守(はりまのかみ)に就任しました。1160年には厳島神社に参詣したと伝えられています。以後、たびたび参詣を重ね、厳島神社への信仰を篤くしていきました。
出家後の1168年(仁安3年)頃、清盛は当時の神主・佐伯景弘とともに、社殿を現在のような姿へと造営しました。海に浮かぶ鳥居、浜辺に建つ社殿という大胆な設計は、瀬戸内海交通の要衝としての宮島の重要性と、日宋貿易の拡大を図る清盛の狙いも背景にあったといわれています。
清盛をはじめとする平家一門は厳島神社を厚く崇敬し、平家の栄華を今に伝える国宝「平家納経」が奉納されました。
たびたびの火災と、毛利元就による再建
清盛による造営後、厳島神社の社殿は幾度も火災に見舞われました。
戦国時代、厳島を舞台に毛利元就と陶晴賢(すえはるかた)が戦った「厳島合戦」(1555年)を経て、元亀2年(1571年)、毛利元就は創建当時の建築様式を忠実に守りながら社殿を再建しました。これが、現在国宝に指定されている本殿の姿です。
現在の大鳥居
現在の6本柱(両部鳥居)の様式になったのは、1547年に当時周防・長門を支配していた大内義隆らが再建した時とされています。そして今建っている大鳥居は1875年(明治8年)に建てられたもので、近年の研究により、清盛の代から数えて9代目であることが判明しています。
江戸時代以降の社殿群

戦国時代の後も、厳島神社にはさまざまな建物が加えられていきました。
- 能舞台:1605年(慶長10年)、安芸広島藩主・福島正則が建立。のちに広島藩主・浅野綱長が改築
- 天神社:1556年(弘治2年)、毛利隆元が創建
- 五重塔:1407年(応永14年)創建、和様と唐様が融合した優美な姿
これらの多くは、現在も国宝や国の重要文化財に指定されています。
1996年、世界遺産に登録
厳島神社は、1996年(平成8年)、ユネスコの世界遺産(世界文化遺産)に登録されました。登録範囲は、社殿を含む厳島神社と、前面に広がる海、背後の弥山原始林など、厳島の約14%におよびます。
現在、本社本殿・拝殿・廻廊など6棟が国宝、大鳥居・五重塔・多宝塔を含む11棟・3基が国の重要文化財に指定されています。奇しくも同じ1996年、広島市の原爆ドームも世界遺産に登録されており、広島県は同じ年に2つの世界遺産を得たことになります。
令和の大改修(2019〜2022年)
シンボルである大鳥居は、老朽化に伴い、2019年(令和元年)6月から大規模な保存修理工事に入りました。約3年半にわたる「令和の大改修」を経て、2022年(令和4年)12月に工事が完了し、鮮やかな朱色の姿がよみがえっています。
厳島神社の歴史年表
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 593年(推古元年) | 佐伯鞍職が創建したと伝えられる |
| 1146年 | 平清盛が安芸守に任じられる |
| 1153年 | 平清盛が播磨守に就任 |
| 1160年 | 平清盛が厳島神社に参詣 |
| 1168年頃(仁安3年) | 平清盛が現在のような海上社殿を造営 |
| 1407年(応永14年) | 五重塔が創建 |
| 1555年 | 厳島合戦(毛利元就 対 陶晴賢) |
| 1556年(弘治2年) | 毛利隆元が天神社を創建 |
| 1561年(永禄4年) | 毛利元就が大鳥居を再建 |
| 1571年(元亀2年) | 毛利元就が本殿を再建(現存) |
| 1605年(慶長10年) | 福島正則が能舞台を建立 |
| 1875年(明治8年) | 現在の大鳥居が建立(9代目) |
| 1996年(平成8年) | ユネスコ世界遺産に登録 |
| 2019〜2022年 | 大鳥居の「令和の大改修」 |
よくある質問
厳島神社はいつ創建されましたか?
社伝によると593年(推古天皇元年)、豪族・佐伯鞍職によって創建されたと伝えられています。
厳島神社を今の姿に造ったのは誰ですか?
平安時代末期の武将・平清盛です。1168年頃、海に浮かぶ寝殿造りの社殿として造営しました。
今の本殿はいつ建てられたものですか?
戦国時代の1571年(元亀2年)、毛利元就が平清盛の造営した寝殿造りの様式を守って再建したものです。
厳島神社はいつ世界遺産に登録されましたか?
1996年(平成8年)です。同じ年に、広島市の原爆ドームも世界遺産に登録されています。
なぜ社殿は海の上に建てられているのですか?
宮島(厳島)は島全体が神の宿る場所として信仰されており、島に手を加えることがはばかられたため、社殿は海上に張り出す形で建てられたと考えられています。
まとめ
厳島神社は、593年の創建伝承から始まり、平清盛による壮麗な社殿造営、戦国時代の毛利元就による再建を経て、今の姿へとつながっています。1996年の世界遺産登録以降も、令和の大改修を経て、その美しい姿は大切に守られ続けています。
宮島を訪れる際は、1400年以上にわたる歴史に思いをはせながら、厳島神社を参拝してみてください。


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