厳島神社とあわせて宮島観光で訪れたいのが、弥山(みせん)の麓に広がる**大聖院(だいしょういん)**です。宮島で最も古い歴史を持つ寺院であり、明治の初めまでは厳島神社を管理する立場にもありました。
この記事では、大聖院の開山伝承から、皇室との関わり、明治の神仏分離と大火、そして現在の見どころまでを紹介します。
この記事のポイント
- 大同元年(806年)、弘法大師空海が開いたと伝わる、宮島最古の寺院
- 真言宗御室派(総本山:仁和寺)の大本山
- 明治初年までは、厳島神社を管理する「別当寺」だった
- 1887年の大火でほとんどの建物を焼失し、現在の姿へ再建された
空海による開山伝承(806年)
社伝によれば、大聖院は大同元年(806年)、真言宗の開祖・弘法大師空海によって開かれたとされています。唐から帰国した空海が弥山に登り、真言宗の中心的な修行である護摩焚きなどの修行を行ったのが始まりと伝わります(史実としての裏付けはありません)。
このとき空海が焚いたとされる火は「消えずの霊火」として、1200年以上たった今も弥山山頂で燃え続けているとされています。
皇室との深いつながり(平安時代)
現在の大聖院の存在が史料の上で確認できるのは12世紀のことで、宮島に壮大な寺院があったことが記録されています。その本堂は、宮島を訪れ国家の安寧を祈願したという鳥羽天皇(1103〜1156年)の命によって建てられたと伝わります。
鳥羽天皇の子である覚性法親王(1129〜1169年)は、皇室と関わりの深い京都・仁和寺の門主でした。覚性が父と同じく大聖院を篤く信仰したことから、大聖院はやがて仁和寺の末寺となります。
さらに、退位後の高倉上皇が治承4年(1180年)に宮島を訪れた際の記録には、大聖院が厳島神社の「別当寺」(神社を管理する寺)と記されており、当時の大聖院が持っていた高い権威をうかがい知ることができます。
仁和寺の有力末寺として最盛期へ(室町〜安土桃山時代)
皇室の後ろ盾を受け、大聖院は16世紀には仁和寺の主要な末寺のひとつとなりました。最盛期には12の末寺を抱えるほどの勢力を誇り、日本統一を果たした武将・豊臣秀吉をはじめ、多くの有力者から篤く信仰されたと伝わります。
明治の神仏分離と大火(明治時代)
大聖院にとって大きな転機となったのが、明治時代の到来です。明治元年(1868年)、明治政府は神道と仏教を分離する政策(神仏分離令)を打ち出し、日本で1000年以上続いてきた神仏習合の伝統に終止符が打たれました。これにより、それまで厳島神社を管理する立場にあった大聖院も、多くの土地や地位を失うことになります。
さらに明治20年(1887年)、境内は大火に見舞われ、一部を除くほとんどの建物が焼失してしまいました。現在見られる堂宇や山門などは、この火災のあと、数か月から数十年をかけて再建されたものです。
現在の大聖院:見どころ
長い歴史を経て今に伝わる大聖院には、見どころも数多くあります。
- 遍照窟:大師堂の真下にある地下の霊場。壁に沿って88体の仏像が並び、四国八十八ヶ所霊場の本尊を一度に参拝できる「写し霊場」になっている。各仏像の前の敷石の下には、実際の霊場から運ばれた砂が納められている
- 弥山本堂・消えずの霊火堂:空海が100日間の修行を行ったと伝わる弥山山頂にあり、1200年以上燃え続けているとされる「消えずの霊火」を今に伝える
- 三鬼堂:弥山山上にあり、鬼の姿をした守護神・三鬼大権現を祀る
- 仁王門から続く参道:五百羅漢像が並び、参拝者を出迎える
大聖院の歴史年表
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 806年(大同元年) | 空海が弥山で修行し、開山したと伝わる |
| 12世紀 | 鳥羽天皇の命により本堂が建てられたと記録される |
| 1180年(治承4年) | 高倉上皇の宮島訪問記録に、厳島神社の別当寺として登場 |
| 16世紀 | 仁和寺の主要末寺として最盛期を迎える |
| 1868年(明治元年) | 神仏分離令により厳島神社との関係が絶たれる |
| 1887年(明治20年) | 大火によりほとんどの建物が焼失 |
よくある質問
大聖院はいつ、誰によって開かれましたか?
社伝によると、806年(大同元年)に弘法大師空海によって開かれたと伝わっています。
大聖院は何宗のお寺ですか?
真言宗御室派の大本山です。総本山は京都の仁和寺です。
大聖院と厳島神社にはどんな関係がありましたか?
明治の神仏分離令が出されるまで、大聖院は厳島神社を管理する「別当寺」でした。
現在の建物はいつ頃のものですか?
1887年(明治20年)の大火でほとんどの建物が焼失したため、現在の建物の多くはその後、数か月から数十年かけて再建されたものです。
まとめ
大聖院は、空海による開山伝承から始まり、鳥羽天皇や仁和寺との深いつながりを持ちながら、宮島で最も古い歴史を刻んできた寺院です。明治の神仏分離と大火という大きな試練を経ながらも、遍照窟や消えずの霊火など、今なお多くの見どころを伝えています。
厳島神社とあわせて、ぜひ大聖院にも足を運んでみてください。

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