小江戸川越を歩いていると、蔵造りの町並みの屋根越しにひょっこり姿を見せる木造の鐘楼。それが川越のシンボル「時の鐘(ときのかね)」です。江戸時代初期から約400年にわたって城下町に時を告げてきた鐘は、今も1日4回、町に音を響かせています。
この記事では、時の鐘が建てられた経緯や再建の歴史を年表で整理しつつ、鐘が鳴る時刻、「残したい日本の音風景100選」に選ばれた理由、撮影のポイント、周辺の蔵造りの町並み散策までまとめて紹介します。
時の鐘とは?
時の鐘は、埼玉県川越市幸町にある木造3層のやぐら(鐘楼)で、高さは約16メートル。地元では「鐘撞堂(かねつきどう)」とも呼ばれています。蔵造りの町並みが続く一番街から東へ入る「鐘つき通り」に建ち、川越観光で必ず名前が挙がる定番スポットです。
- 創建:江戸時代初期、川越藩主・酒井忠勝の時代(寛永4〜11年/1627〜1634年)に建てられたと伝えられる
- 現在の鐘楼:明治26年(1893年)の川越大火の翌年に再建された4代目
- 文化財:川越市指定有形文化財
- 選定:平成8年(1996年)、環境庁(現・環境省)の「残したい”日本の音風景100選”」に選定
もともとは城下の人々に時刻を知らせるための施設で、度重なる火災で焼失と再建を繰り返しながら、今日まで受け継がれてきました。
時の鐘の歴史【年表】
時の鐘は、川越の町が経験してきた火災や復興の歴史とも深く結びついています。江戸時代から明治にかけて3度焼失し、そのたびに再建されてきました。主な出来事を年表にまとめました。
| 年代 | 出来事 |
|---|---|
| 寛永4〜11年(1627〜1634年) | 川越藩主・酒井忠勝の時代に時の鐘が創建されたと伝えられる(当初は多賀町、現在の幸町に設置) |
| 承応2年(1653年) | 松平信綱の川越入封にともない、椎名兵庫が新たな鐘を鋳造 |
| 安永3年(1774年)・安政3年(1856年) | 大火でそれぞれ焼失し、安永5年(1776年)・安政4年(1857年)に再建 |
| 明治26年(1893年) | 川越大火が発生。町の約3分の1が焼失し、時の鐘も焼失 |
| 明治27年(1894年) | 現在の鐘楼(4代目)が再建される。薬師神社も同時期に再建 |
| 昭和33年(1958年) | 川越市指定有形文化財に指定 |
| 平成8年(1996年) | 環境庁「残したい”日本の音風景100選”」に選定 |
| 平成11年(1999年) | 周辺の「川越市川越伝統的建造物群保存地区」が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定 |
| 平成27〜28年度(2015〜2017年) | 耐震化工事を実施 |
川越大火と再建
明治26年の川越大火は、当時の川越町の3分の1を焼き尽くした大災害でした。時の鐘もこのとき焼失しましたが、翌年には早くも再建されています。町の象徴をいち早く取り戻そうとした当時の人々の思いが感じられるエピソードです。
この大火をきっかけに、川越の商人たちは燃えにくい「蔵造り」の店舗を次々と建てるようになりました。現在の蔵造りの町並みと時の鐘は、同じ大火からの復興の中で生まれた「兄弟」のような存在といえます。
時の鐘の見どころ
1日4回鳴る鐘の音(6時・12時・15時・18時)
時の鐘は現在、機械仕掛けで自動的に鐘が撞かれ、1日4回(午前6時・正午・午後3時・午後6時) 時を告げています。
観光で訪れるなら、日中に聞ける12時か15時がおすすめ。鐘の音を聞くために、少し前から鐘つき通りで待つ人の姿も見られます。
「残したい日本の音風景100選」に選ばれた音
時の鐘の音は、平成8年に環境庁(現・環境省)が選定した「残したい”日本の音風景100選”」のひとつです。約400年前から城下町に時を告げてきた鐘の音が、今も蔵造りの町並みに響いているという「音の歴史」が評価されています。
鐘楼をくぐった先の薬師神社
時の鐘の足元はトンネルのようになっていて、鐘楼の下をくぐると薬師神社の境内に出ます。薬師神社はもともと「瑞光山醫王院常蓮寺」という寺院で、本尊は薬師如来立像。病気平癒、とくに眼病にご利益があるとされています。
時の鐘を見上げて満足して帰ってしまう人も多いので、ぜひ鐘楼をくぐってお参りしてみてください。
撮影スポット
時の鐘は鐘つき通りに建っているため、通りに立って見上げる構図が定番です。
- 鐘つき通りの一番街側から:通りの両側の建物越しに鐘楼を正面に捉えられる定番の構図
- 鐘楼の真下から見上げる:木造3層のやぐらの迫力を感じられるアングル
- 朝や夕方の時間帯:日中は観光客が多いため、人の少ない写真を撮りたいなら早めの時間がおすすめ
通りは観光客の往来が多いので、撮影の際は通行の妨げにならないよう注意しましょう。
個人的におすすめなのは、鐘つき通りの町並みと一緒に時の鐘を撮る構図です。鐘楼だけを切り取るよりも、通りに並ぶ蔵造りの建物を手前に入れることで、「小江戸の町に建つ時の鐘」らしい雰囲気が伝わる一枚になります。
周辺の蔵造りの町並み散策
時の鐘があるのは、黒漆喰の重厚な蔵造りの店が並ぶ「一番街」のすぐそば。このエリアは平成11年(1999年)に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
- 大沢家住宅:寛政4年(1792年)建築の呉服太物商の店蔵。明治26年の大火でも焼け残り、蔵造りが広まるきっかけになった建物のひとつ
- 一番街の蔵造りの町並み:防火のための耐火建築として発達した「蔵造り」の商家が軒を連ね、江戸の町家の面影を今に伝える
- 菓子屋横丁:一番街から徒歩圏内にある、駄菓子店が並ぶ人気エリア
川越の観光スポットをまとめて知りたい方は、小江戸川越の観光スポット13選もあわせてご覧ください。川越城(本丸御殿)方面へ足を延ばすなら、川越城へのアクセス完全ガイドが参考になります。
10月には、蔵造りの町並みを山車が巡る「川越まつり」も開催されます。日程や見どころは川越まつり2026完全ガイドで紹介しています。
時の鐘の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 時の鐘(鐘撞堂) |
| 住所 | 〒350-0063 埼玉県川越市幸町15-7 |
| 鐘が鳴る時刻 | 6:00/12:00/15:00/18:00(1日4回) |
| 見学時間 | 外観は自由に見学可(営業時間・休みの設定なし) |
| 料金 | 無料 |
| 所要時間 | 5〜10分程度 |
| 駐車場 | なし(周辺のコインパーキングを利用) |
| 文化財 | 川越市指定有形文化財 |
| 公式情報 | 川越市公式サイト「時の鐘」 |
※筆者の訪問時期:2021年7月頃。鐘の時刻・料金・アクセスなどの情報は2026年10月7日に川越市公式サイトで確認したものです。変更される場合がありますので、お出かけ前に最新情報をご確認ください。
時の鐘へのアクセス
電車+徒歩
| 最寄り駅 | 所要時間(徒歩) |
|---|---|
| 西武新宿線「本川越駅」 | 約15分 |
| 東武東上線「川越市駅」 | 約18分 |
| JR川越線・東武東上線「川越駅」(東口) | 約24分 |
電車+バス
- 東武バス:川越駅から「蔵のまち」方面のバスに乗車し、「一番街」バス停下車、徒歩約2分
町並みを眺めながら歩くのも楽しいですが、時間がない場合や帰りに疲れたときはバスを使うと便利です。
車
関越自動車道「川越IC」から約11分。時の鐘専用の駐車場はないため、周辺のコインパーキングを利用しましょう。週末や観光シーズンは周辺道路が混雑しやすいので、公共交通機関の利用がおすすめです。
よくある質問
Q. 時の鐘は何時に鳴りますか?
1日4回、午前6時・正午・午後3時・午後6時に鳴ります。現在は機械仕掛けで自動的に撞かれています。
Q. 時の鐘の見学に料金はかかりますか?
見学は無料です。外観はいつでも自由に見学でき、鐘楼の下をくぐって薬師神社にお参りすることもできます。
Q. 時の鐘はいつ建てられたのですか?
江戸時代初期、川越藩主・酒井忠勝の時代(寛永4〜11年/1627〜1634年)に建てられたと伝えられています。現在の鐘楼は明治26年(1893年)の川越大火の翌年に再建された4代目です。
Q. 見学にかかる時間はどのくらい?
時の鐘だけなら5〜10分程度です。薬師神社へのお参りや一番街の散策を含めると、1〜2時間ほど見ておくとゆっくり楽しめます。
Q. 時の鐘の近くに駐車場はありますか?
専用駐車場はありません。周辺のコインパーキングを利用するか、電車・バスでのアクセスがおすすめです。
Q. 時の鐘の近くで食べ歩きはできますか?
時の鐘がある一番街周辺には、和菓子店や食べ歩きグルメの店が多く集まっています。菓子屋横丁も徒歩圏内です。
まとめ
川越「時の鐘」は、江戸時代初期から約400年にわたって城下町に時を告げてきた、小江戸川越のシンボルです。
- 創建は寛永年間(1627〜1634年)、現在の鐘楼は明治26年の大火翌年に再建された4代目
- 鐘は1日4回(6時・12時・15時・18時)、観光なら12時か15時が狙い目
- 「残したい日本の音風景100選」にも選ばれた音色
- 鐘楼をくぐると眼病のご利益で知られる薬師神社
- 見学は無料、蔵造りの町並み散策とセットで楽しめる
鐘の時刻に合わせて訪れ、蔵造りの町並みに響く音色に耳を傾けてみてください。


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